2024.10.28
LIXIL【カーポートSC】強度とデザインを兼ね備えた逸品
カーポートと言えばアルミ形材で構造を組み立て、その構造にポリカーボネート屋根材を張るタイプが一般的です。
しかし、そのようなカーポートとは一線を画す製品があります。
それがLIXILのカーポートSCです。
この記事ではLIXILのカーポートSCを取り上げ、その特徴から性能、そして構造などを中心に紹介します。
デザイン
まずはデザインを取り上げます。
デザイン全般
まず挙げられる点は屋根がフラットでシャープなデザインであることです。
他のポピュラーなカーポートは屋根に緩いカーブが付けてあり、柔らかい雰囲気となっています。また、屋根材にはポリカーボネート板を使っているので、基本的には透明に近いです。
しかし、カーポートSCはアルミで組んだ屋根で非常にシャープなモダンなデザインです。
後方支持
次に挙げられる点は後方支持である点です。
一般のカーポートは屋根の側面に支柱があり、その上端の梁に屋根を乗せて支持しています。このため、梁はカーポートの下に現れる恰好になっています。
しかし、カーポートSCは後方に支柱が立つタイプです。しかも、広い屋根であるのにも関わらず、梁は屋根の上にあるので、下から見るとフラットです。それによって他のカーポートには見られないシャープさが演出されています。
屋根の厚さが40mm
屋根の厚さが40mmであることも特徴の1つと言えるでしょう。
他の一般のカーポートはポリカーボネート板を使っているので屋根材が非常に薄いのですが、屋根の枠材などを含めると意外に厚みがあります。そのため、時として野暮ったく見えてしまいます。
その点、カーポートSCは屋根の厚さが40mmなので、そのような野暮ったさがありません。
ちなみに、この屋根の厚さは複数台用のカーポートも同じです。広い面積であってもシャープに決めるので、車を複数台持っていて、モダンな家づくりをする人にとっては、特におすすめの製品と言えそうです。
雨樋は部材に収納
カーポートには雨樋が欠かせません。屋根に降った雨を確実に長さないと、屋根の下を汚してしまうからです。
そのため、柱には雨樋が付いていますが、一般にはいかにも後付けした感じがしてデザイン性に欠けていました。
その点、カーポートSCは部材の内部を雨樋に使っています。そのため、柱に雨樋はなく、非常にスッキリした納まりになっています。
ちなみに、カーポートに付いている雨樋はプラスチック製のため、どうしても劣化が懸念されます。その点、カーポートSCは雨樋そのものを付けていないため、劣化の心配はありません。
ボルトやネジが見えない構造
カーポートは基本的にはボルトやネジで現場にて組み立てます。組み立て前の部材はアルミ材に組み立て用の部品やネジを止める穴が開いている程度。それを現場にて組み立てるのです。
そのため、カーポートの部材の接合部分にはネジの頭が露出しています。この状態も不格好です。
その点、カーポートSCはアルミ材の組み合わせでネジ頭が見えない構造としています。これにより各部分の納まり方は非常にきれいです。
カラー
ポピュラーなカーポートの色は各社ともあまり変わりません。
ブラウン系、ブラック系のケースが多いです。しかも、アルミ材特有の金属光沢のため、オリジナリティに欠けています。周囲に溶け込むことはできるが、そのカーポート自身は主張をしない…といった感じです。
しかし、カーポートSCは他の製品とは異なります。
では、どのような点が異なるのでしょうか。
カーポートSCのカラーを取って解説しましょう。
カラーバリエーションについて
一般のカーポートであれば色は単純に分けられます。ブラック系、ブラウン系、ホワイト系…といった感じです。
しかし、カーポートSCの場合はカラーをカテゴリー別に分けることが可能です。
具体的には
- モノトーン系
- 木調
- ツートン
があります。
次項からそれぞれについて解説します。
落ち着きのあるモノトーン系
まずは落ち着きのあるモノトーン系から挙げましょう。
カーポートSCのモノトーン系には「シャイングレーF」「ナチュラルシルバーF」「ブラック」の3色があります。
この内、特徴的なのは「シャイングレーF」と「ナチュラルシルバーF」です。いずれの色もマットな処理が施されていて、落ち着いた雰囲気を醸し出しています。
ちなみに、昔のシルバー材は光沢こそ良いのですが、アルミ材としては前時代のもの。時代遅れとさえ思えます。しかし、シャイングレーFもナチュラルシルバーFもマットな仕上げを施しているので、モダンなカラーに良く合います。
温かみのある木調
カーポートSCには木調のタイプもあります。これによって温かい雰囲気のプロデュースも可能です。
ところで、外構のデザインはシャープなものだけではありません。例えば、ヨーロピアンタイプの門扉やフェンスを組み合わせた外構や、ウッド素材を多用したものもあります。
カーポートはそれらのエクステリア製品とのコーディネートを求められるときが少なくありません。
その点、カーポートSCの木調は柔らかい演出の外構にもマッチします。家屋の周囲を柔らかい雰囲気で包んでくれることでしょう。
シャープなツートン
カーポートSCにはツートンカラーのタイプもあります。
これは特にシャープな住宅に合うタイプです。
ところで、今のモダンな住宅には敢えてシャープさを追求したものがあります。例えば、住宅の居室までコンクリートやモルタルをあしらった内装。非常にモダンでカッコいいと評価されています。
カーポートSCのツートンはアルミ材ではありますが、シャープな色調を組み合わせたタイプです。そのような近未来的な住宅にもマッチします。
ちなみに、他のカーポートではここまでの近未来的なデザインを持っている製品はレアケースです。やはりカーポートSCに軍配が上がるでしょう。
後方支持の効果
前にも述べたように、カーポートSCは後方支持のタイプです。
この構造のカーポートは非常に少ないです。
ところで、後方支持であることには意外なメリットがあります。
ここでは、そんな後方支持から得られる効果を取り上げましょう。
車の出し入れがしやすい
第1に挙げられる点は「車の出し入れがしやすい点」です。
住宅は基本的には接道がされているため、多くは90°曲がって発進します。
そのため、時として柱が邪魔になって出入りしにくい場合があります。特に、面している道路の幅が狭い場合は厄介です。
その点、後方支持のカーポートSCの場合は柱が後ろにあるため、車の発進を妨げるものはありません。敷地に接する道路が狭かったとしても、あまり問題なく出し入れができます。
ドアの開閉に支障が発生しない
車のドアは横に付いていて、開閉する範囲にカーポートの柱があるとドアが当たってしまいます。
そのため、状況によっては車をズラして駐車する必要があります。カーポートのサイズによっては屋根から車がはみ出る場合もあるほどです。
その点、カーポートSCであれば柱が車の後ろにあるため、ドアの開閉範囲に柱は干渉しません。ですから、余裕を持って車を停めることが可能です。屋根からはみ出ることもないので、車を雨で汚すことも無くなります。
柱を側面に設置すれば片支持2台用に
カーポートSCの2台用は90°まわせば片支持式のカーポートとしても使用が可能です。
敷地に余裕が無い場合などに合わせて、フレキシブルに対応することができます。土地の現況に合わせて配置させると良いでしょう。
ちなみに、一般的な片支持式のカーポートの場合には、2台分を片支持で納めることはできません。2台分になると合掌タイプになるのです。カーポートSCのようにはスッキリと納まらないのです。
太陽光の紫外線や熱線を抑制
カーポートSCは屋根がアルミ材で構成されています。そのため、完全に不透明です。
その一方、一般のカーポートは屋根材がポリカーボネート板。基本的には透明に近い素材です。
さて、今のポリカーボネートは熱線遮断や紫外線遮断など、数々の優れた特性を持っています。そのため、車の温度上昇を防ぐ上で有用です。…しかし、遮断は完全ではないので、温度上昇はそれなりに認められます。
しかし、カーポートSCは完全に不透明。日光そのものを通しません。
そのため、車の温度上昇をポリカーボネート屋根材などよりも抑えることが可能です。
屋根上の汚れが気にせずに済む
一般のカーポートであれば、屋根は透明なポリカーボネート板なので、屋根の上に落ちた汚れが見えてしまいます。
例えば、屋根の上に落ち葉が積もったならば、屋根の下から落ち葉が見えてしまうのです。これは見苦しく思えます。
その点、カーポートSCであれば屋根材はアルミ材で完全に不透明。仮に屋根の上に落ち葉が溜まったとしても、下からは見えません。あまり気にせずにいられます。
その他
カーポートSCにはその他にも次のような部材や特徴があります。
延長梁
2台用のカーポートは基本的には屋根の側面に柱を立てています。屋根は柱と梁に接続するので、柱の移動はあまりできません。仮に、柱を移動させ過ぎるとカーポートの強度が著しく落ちることもあり、危険なのです。
その点、カーポートSCの延長梁は梁そのものの延長が可能なので、柱を立てる位置の範囲が広がります。
敷地に合わせることが難しい土地でも、延長梁を使えば設置が可能になるでしょう。
オプション
シームレスラインライト
基本的に一般のカーポートには照明器が付いていません。設置するとしたならば、多くの場合は後付けで照明器を付ける格好になります。ただし、この場合の照明器はカーポートのデザインに合わせてはいないので、不格好に納まる場合が少なくないでしょう。
その点、カーポートSCであれば屋根にシームレスラインライトの取付が可能。カーポートの屋根の下にライン状に点灯するので、シャープでスタイリッシュに映ります。そもそもカーポートSCはモダンなデザインですが、シームレスラインライトによって、夜間もおしゃれに映えるのです。
ダウンライト
カーポートSCは屋根にダウンライトの設置も可能です。
ダウンライトはラインライトと違ってスポット状のライト。照らす範囲が違います。
ライトの光は単に明るくするだけでなく、車を飾る意味でも重要です。ダウンライトは愛車を美しく照らすのに役立つことでしょう。
ちなみに、ダウンライトのケーブルは屋根の内部を通すことも可能。露出して不格好になることはありません。
人感センサ
カーポートSCの照明器には人感センサの取付も可能です。スイッチ操作が必要ないので便利です。
ところで、人感センサにはもう1つの重要な意味があります。…それは防犯です。
車上荒らしをはじめとする犯罪は暗闇で行われる場合が少なくありません。これは暗闇であれば目立たないからです。
しかし、人感センサとライトがあれば不審者が近づけば不審者を照らします。不審者は発見されるのを恐れて逃げるのです。
ミニサイズもある
カーポートSCにはミニサイズもあります。自転車やバイクの駐輪場として活用すると良いでしょう。
なお、エクステリアのコーディネートを考えるのであれば、駐輪場も同じデザインにする方がベターです。
強度性能
カーポートはどこにでも設置して良い訳ではありません。製品の強度を確認して設置しなければ、最悪の場合は倒壊にも至ります。
カーポートの強度のメインは積雪強度と耐風圧です。カーポートSCについても出ているので、ここで取り上げましょう。
積雪強度
カーポートの積雪強度には概ね3つの強度基準があります。1つが積雪20cm対応の600N型、50cm対応の1500N型、1m対応の3000N型の3種類です。これは地域によって設置する製品を分けます。
さて、カーポートSCの積雪強度には積雪20cm対応の600N型と50cm対応の1500N型の2種類があります。600N型は関東から西の太平洋側、1500N型は中部地方などの積雪が50cm見込まれる地域対応です。
基準風速
カーポートは風に対しても注意が必要です。あまりにも強すぎる風が吹くと上に押し上げる力が働いてしまい、屋根材を引きはがすからです。実際、昔のカーポートでは台風などで屋根が抜け出す事態が意外にありました。
その点、カーポートSCであれば基準風速が製品単位で決まっているので、強風地域であっても設置には迷わなくて済みます。
強風地域と言えば、九州や沖縄、そして四国の太平洋側を思い出しますが、そのような地域であっても製品を選びさえすれば問題なく設置が可能です。
構造
ここで、カーポートSCの構造について解説しましょう。
主要部材はアルミ形材
カーポートSCの主要構造部材はアルミ材です。
アルミ材の特徴は軽量で腐食しにくいこと。スチールのように赤サビが出ないので、美しい状態で長期間の使用が可能です。
金属の腐食は進行してしまうと部材の強度を著しく落としてしまい、場合によっては構造そのものが壊れてしまいます。
しかし、アルミであればそのような問題も発生はほとんどしません。
後方支持のトラス構造
カーポートSCの構造は一般的な片流れカーポートとは違います。
大きく違う点は柱から屋根を吊っている点。筋交いを走らせているのです。
これはトラス構造と呼ばれる構造で、非常に高い強度を持ちます。
そのため、後方支持であっても問題なく屋根を支えられます。
グレードと価格
次に、カーポートSCのグレードと価格について取り上げましょう。
グレード
住宅建材は一般的に「高級グレード」「中級グレード」「普及グレード」の3つに分けられます。高級になるにつれてデザインが豪華になり、機能も優れます。逆に普及になると重要視されるのがコストです。
エクステリアもグレードで分けられて、カーポートも例外ではありません。そして、カーポートSCはこの内の高級グレードに相当します。
価格
カーポートSCの価格は販売会社によっても異なりますが、最小の構成で35万円くらいからです。
ただし、これはあくまでも最小構成。大きなサイズになると100万円を軽く超えてしまいます。
その点、コストパフォーマンスを重視した普及グレードのカーポートは10万円程度で購入が可能。価格の差は歴然です。
デザインの評価
カーポートSCはデザインの評価も非常に高いです。2017年にはグッドデザイン賞を受賞し、その他にも海外の賞も取っています。これは他のカーポートには見られないシンプルなフォルムが評価されたと言えるでしょう。
過去にはYouTubeにて解説も行っておりますので詳細はこちらをご覧ください。
まとめ
LIXILのカーポートSCについて取り上げました。
従来のカーポートとの違い、そしてメリットなどが分かったことと思います。
また、自宅にカーポート工事を考えている方においては、設置する製品の方向性が定まった方もいるのではないでしょうか。
いずれにせよ、カーポートSCは性能からデザインまで、多くの長所が備わっています。値段は張りますが、車庫まわりにこだわりたい人には魅力的な逸品になるでしょう。